A団アタック



109番水道、カイナビーチ。

真夏のホウエン地方、気軽に遊べる一般庶民の海である。

広い砂浜は、水着姿の人々であふれ返っている。

どこを見ても、人・人・人・海パンで、迷子のアナウンスも絶好調であるが、

その中でひと際、人だかりが出来てる場所があった。



【戦慄のうみのいえ】


インタビュアー「ホウエンテレビ、ライブ〜!」


今日はカイナビーチに出張中の地元局・ホウエンTV。

ゲストを迎えて、"海の家"から番組中継をしていた。

海の家のまわりには海水浴客が集まっていて、公開収録を見物している。


インタビュアー「…引き続き、ゲストのトウキさんにお話を聞いてきたいと思います」

トウキ「ビッグウェーブ…」

ゲストのトウキは元気を失っていた。

インタビュアー「ほらほら、元気にビッグウェーブ!」

トウキ「僕は泳ぐのも好きだけど、どっちかっていうと海上で、波の魅力…

インタビュアー「お〜っと、そんな海大好きなトウキさんに次の質問!」

トウキ「え!?…なんだろう」

インタビュアー「ムロ島といえば流行発信地。という事で、今夏の流行語…」

トウキ「Σう゛、きた…」

インタビュアー「ひとつだけ、教えてくれるかな〜?」

トウキ「そ、それは…」

トウキの目が泳いだ…、これだ!というカンペが見える…

インタビュアー「せーのーォ!」

トウキ「…うーみー!」

インタビュアー「Σ声小っさ!!」

トウキ「じゃ、もういいよな。また来週!」

インタビュアー「Σまだですよ、次はお電話コーナーです」

トウキ「国際電話でセイガイハって所だけはやめてくれよ」

インタビュアー「大丈夫、ルネシティです」

トウキ「Σえ!それはそれで拷問だ!!」

インタビュアー「あ、もうお電話繋がってますよ」

トウキ「ΣマΣジΣなのかー!すいません、アダン先生!!」


電話のミクリ『ミクリです』


トウキ「うわ…。」





【砂浜】


ワタル「海、来たぜ!」


その頃、海岸入口。

ホムラ・ホカゲ・バンナイそしてワタルが現れた。

久しぶりに山から下りてきたので今日は全員、気合が入っている。

各々のラフな上着をはおって、下はハーフ丈の水着。

そして小脇に、大玉スイカをドン!と抱えている。

この、男だけ4人組の背格好容姿に、付近の客の好奇な視線が集まった、

…が!

なんだか雰囲気がアヤシイ気がしたので、人々はソーッと静かに道をあけた。


ホムラ「…。」

ホカゲ「すげー人だ、すげー水着だあのギャル」

バンナイ「あんまりカワイイ子いないね…あ!…いや、うーんステイ」

ワタル「こんな人ごみじゃ、スイカ割りとかできねぇなぁ…」

ホカゲ「ワタルさんスイカ割りあきらめろ、フエン帰ってしようぜ砂風呂ゾーンで」

ワタル「オイオイ、よせよ。やっと年寄りだらけの健康ランドから脱出してきたんだ」

ホカゲ「Σ失敬な、それフエンタウンの事か?」

バンナイ「はいはい、そこにマツブサさんは含まれますか?」

ホムラ「…下っ端連れてくるんだったな」

ホカゲ「なんか言ったかホムラよ」

バンナイ「あ、場所取りですか?意外と順序踏むタイプなんですね」

ホムラ「仕方無い、どこか紛れ込むか」

 バンナイ「じゃ、あそこの女の子だまりの所に…」

 ワタル「その横っちょのバッドチームの奴らブン殴って…」

 バンナイ「は?」

 ワタル「あ?」

ホカゲ「ナンパもケンカもよくねーぞ、少しずーつ他人のシートずらして隙間に…」

 バンナイ「セコ」

 ワタル「ダサ」

ホムラ「…そんな周りクドくする必要は無い」

ホカゲ「どうすんだホムラよ。ワタルさんスイカ6玉も持ってきちまったんだぞ?」

ホムラはシレっとした顔で、指差した。

ホムラ「おい、見ろ。ガラ空きのシートがある、あれを占領しろ」

ホカゲとバンナイはうろたえた。

ホカゲ「…あの、ド真ん中の 青い やつか?」

バンナイ「…あの、ド真ん中の A ってロゴマーク入ったシートですか?」

ホムラ「行くぞ」

ホカゲ「マズかないか」

バンナイ「マズかありますよ」

ホカゲ「オ、オレらだけならまだしも、ワタルさんいるんだぞホムラ!」

バンナイ「てことはだよ、この付近に連中ウロついてるんだよホムラさん!」

ホムラ「 俺はオフだ。 」

ホカゲ「そそそれはあんま関係ねぇぞホムラ!」

バンナイ「そうだよ。ワタルさんが身バレしたら面倒ですよホムラさん!」


ワタル「おーい、お前ら来ないのかー?」


ホムラ「もう占拠してる」

ホカゲバンナイ『お構いなしに、 早っ』


無人の青色シートの場所までくると、バンナイがマリンバッグを開け、

これ見よがしに真っ赤なレジャーシートを取り出し、広げた。


バンナイ「みんな言いたい事は解かるよ、赤、暑そうだよな」

ホムラ「青いシートの上へ、さっさと被せろ」

ホカゲ「おめーも手伝え」

ワタル「オレ、赤色の方が好きだから構へん構へん」

ホムラ「日差しが強い、刺さってた傘はそのまま使わせてもらう」

ホカゲ「パラソルな。 バンナイ君、このレジャーシート名前書いてねぇぞ?」

バンナイ「え・・要らないだろ、名前。 まあ、あるよ。どうぞ油性マジック」

ホカゲ「Σおお!サンキューな」

ワタル「なんで油性マジックあるんだ」

ホムラ「知らん」

ホカゲ「バンナイ君だから」


マグマだん さんじょう! ▲


バンナイ「ホカゲさん、字が汚ねぇな…」

ワタル「なんで上向き三角なんだ?」

ホムラ「気分、上げたのか」

ホカゲ「だな」


レジャーシートを設置した所で、全員ソソソ・・とビーチサンダルを脱いで上へ座った。


ホムラ「…。」

ホカゲ「ヘヘ…」

バンナイ「なんか、改めまして…次どうしましょうか」

ワタル「なんだよ、なんか他人行儀だな…いつも通りでいいんだぜ」

ホムラ「シャツ、脱げ」

ホカゲ「Σ引っ張るな!じょじょに脱ぐから…まだオレに恥じらいが」

バンナイ「ホムラさんこそ、さっさと上着脱げよ」

ワタル「ところでバンナイ、どうして長袖なんだ…」

ホムラ「…。」

ホカゲ「…なんかオレら、」

バンナイ「…海、似合わないね」

「…。」 「…。」 「…。」


ワタル「Σなんだこの空気。ちょっと待て、ホウエンったら夏の海だろ、海!」


ホムラ「俺達はマグマ団だ、機会があまり無い」

ホカゲ「おめーらと海来んの初めてだな、そして初水着・・照れますな!」

バンナイ「は?ホムラさんとホカゲさんは、温泉で裸の付き合いでしょ」

ワタル「ちょっと待て! トーンダウンしよう、内容が世間に浮いてるからな」

ホカゲ「Σワタルさんにトーンダウンって言われたぞ」

バンナイ「あ、俺は焼けない事情があるから…それにひと目に晒したくない」

ワタル「じゃあ海来んなよ」

バンナイ「Σえぇ!酷い、だって楽しそうだったんで!!」

ワタル「わかった、脱げ」

バンナイ「あ・・言葉が通じない、わかった、脱ぐよ…」

ワタル「次はー…ホカちゃん、事情を聞こう」

ホカゲ「特にねぇぞ。みんな脱がないからオレも脱いでないだけ、そして恥じらい」

ワタル「よしわかった、脱げ」

ホカゲ「うん」

ワタル「で、ホムラな。イケるか?」

ホムラ「…。」

ワタル「だ、だめか?」

ホムラ「…。」

バンナイ「無言で脱ぎ出した…」

ワタル「な、なんだそのオレ達を蔑むような目は…」

ホカゲ「オレ、ホムラの海パン姿見るの初めてだぁ」

ホムラ「…あ?」

バンナイ「マグマ団のジムって、プールとか無いですからね」

ワタル「そうだよな、プール作れよプール!」

ホムラ「なるほど、考えておく」

ホカゲ「べ、別に要らねーだろ…」

バンナイ「なんで?ノリ悪いですねホカゲさん」

ホムラ「そりゃそうだろ、ホカゲは泳げねぇからな」

ワタル「Σえ、ホカちゃんカナヅチなのか!?」

ホカゲ「Σオォォォレェはな、マボロシ島まで泳いだスイマーだぜ?」

ホムラ「引率付きでな」

ホカゲ「あのな、そういうホムラこそ何メートル泳げるん?」

ホムラ「…ホカゲが見たことねぇ数字」

ホカゲ「Σまじでか」

ワタル「Σまじでか」

バンナイ「子供か」


 ビキニのおねえさん「きゃー!」


ホムラ「!」ホカゲ「Σおお!」バンナイ「まずい!」ワタル「やべ!」

突然のこと、一同の背後で黄色い悲鳴が上がった。

とっさにホムラは身構え(対アクア団)

とっさにホカゲは頬を染め(対ギャル団)

とっさにバンナイは顔を隠し(対ポリス団)

とっさにワタルは開き直った(対ファン軍団)

…が、しかし。


 ふなのりのオネェさん「四天王よ〜!」

 うきわガール「カゲツンカゲツン!」

 うきわボーイ「カゲツーン!」

 海パン野郎「カゲッサーン☆」


アテが外れた一同が、ハァ?と怪訝そうに振り返ると、

海の家の前をスーっと…なんと!

ホウエン四天王のカゲツが、横切っていった。

手にはブルーハワイをツー・グラス持っていた。

その後ろを、チビッ子からギャルから海パンまでズラズラ追っていく様子が見えた。


ホカゲ「Σくそう!カゲツン、おしゃれ番長め!!」

バンナイ「なんで四天王クラスが庶民の海にいるんだよ…」

ワタル「ありゃ、出たがりだな。つーかなんだよはげ、カクテル・デートか!」

ホムラホカゲバンナイ3人の視線が、ワタルに集中した。

ホムラ「…しかしその、あんたの方は全然気づかれないな」

ワタル「Σオレかー!?オレは変装してるからなハハハ!!」

ホカゲ「ワタルさんちょっとやけくそだろ、声デカすぎ」

バンナイ「いつもの髪、おろしただけで"変装"ってんで最初笑っちまったけど…」

ワタル「なあ。こんな、オレって気づかれないのか…?」

ホカゲ「うん。気づかれない」

ワタル「ス、スイカ割ろうか…海はいろうか…」

バンナイ「ワタルさんかわいそう…」


ホムラ「くだらねぇ、俺は抜ける。売店へ」


バンナイ「あ!俺も連れてって下さい、日焼け止め足りないんで」

ホカゲ「Σおめーは女子か! オレも行くぞ!!」

ワタル「じゃあ、オレも」

ホムラ「何で全員で行くんだ、誰か代表して…」

ホカゲ「オレ、金わすれた…。ホムラ好きだ〜ァ」

ワタル「オレ、現金持ってねぇんだよ…」

ホムラ「…だろうな。コレで何か買ってこい… ホカゲうぜぇから離れろ」

バンナイ「はーい、1マツブサ(万札)いただきました。行ってきます!」


バンナイが軽く手を振って、歩いていった。


ホカゲ「迷子になるなよー…」

ワタル「なったら、そのまま帰ってくんなよー…」


バンナイが歩きながらニッコリ笑って、中指を突き立てた。


ホムラ「お前ら、海へ行け」

ワタル「おう、行くか!・・って、何だよホムラ、留守番か?」

ホムラ「俺は傘の下のままでいい」

ホカゲ「無気力発言…、ホムラは若者じゃねーな」

ホムラ「…。」

ワタル「久しぶりの海なんだろ、行こうぜ!」

ホムラ「…引っ張っるな」

ホカゲ「おお。ワタルさんとホムラ、傘の下で…アイアイ傘ですな、海行こうぜ」

ワタル「じゃ、手ぇ繋いでくか?」

ホムラ「Σなッ、やめろシャレにならねぇ!!」

ワタル「いや、ホカちゃんと…」

ホムラ「…。」

ホカゲ「ヤメロそれもシャレにならねぇ」





【その頃、海の家】


ウシオ「トウキさんお疲れさまーっす!」

シズク「これからもホウエンTV局を宜しくお願い致します!」


中継収録の終わり、トウキが海の家のカウンターに伏せてグッタリしていると、

ウシオとシズクが、ゴマすりしながら水分と濡れタオルを持って近づいてきた。

二人ともアクア団の幹部服を、堂々と着込んでいる。(Q話参照)


トウキ「ハァ。何だよ・・海の特番ってことで来たのに…騙されたよ」

ウシオ「うちの局長が、トウキさんお気に入りなんすよ。ハイこれ水分!」

トウキ「ありがたいけどさ・・セイガイハのネタは凹むぞ。 あ…水分ありがとう」

トウキは貰った水分を、ゆっくり飲んだ。

トウキ「海の家のサイコソーダか、うまいよな…」

トウキはしみじみと語った。

シズク「今日はアンニュイですねトウキさん」

トウキ「うん? 君だれだっけ、シズ…

シズク「 シズクです」

トウキ「さっきの…極めつけがミクリさんだよ?君らあのルネ語に耐えられる??」

シズク「ヒトとして、無理です」

ウシオ「あとうちの局長、セイガイハのシズイさんも最近押してて…

トウキ「Σで!も!な!? それでも今日は、ムロから脱出できてよかったよ…」

ウシオ「え、何かあったんすかムロで?」

トウキ「し〜・・! こっちの話しだ、今ムロに"滞在"してて心、すり減ってんだ…」

シズク「一体なにが"滞在"してんです?」

トウキは深いタメ息を落とした。

そこに突然、砂浜の方から黄色い悲鳴が上がった。


 ビキニのおねえさん「きゃ〜!」


トウキは思わず、声のした方を注目した。

すると次の瞬間、耳を疑いたくなる言葉が飛び交った。


 ふなのりのオネェさん「チャンピオンよ゛〜ォ!」

 うきわガール「だれ!」

 うきわボーイ「だれ?」

 海パン野郎「すげーッ、はかいこうせーん☆」


トウキがうろたえて、床にひっくり返った。

トウキ「チャ・・チャ…チャンピオン…だってェ…?」

ウシオ「Σどうしたトウキさん、真っ青だ!ふるえてる?!」

シズク「寒いんですか、まさかね」

トウキ「嘘だ、嘘だ…だってオレ、今日行き先は…」

トウキはガバッと顔を上げた。

トウキ「やべぇ!中継だ、中継で知って追ってきたんだ…」

トウキは愕然と崩れ落ち、床を見つめ呟いた…。


ワタル「馬鹿野郎 オレは ワタル だッ タケルじゃねぇ」


砂浜から怒号が響いてきた。


トウキ「ワタル?」

ウシオ「は、ワタル?」

シズク「ワタルって、本州のチャンピオンでしたっけ」


トウキは慎重に窓辺に移動すると、砂浜に出来た人だかりをジーッと見つめた。

周りを囲った一般人の中心に、顔一つ分、背の高いワタルの顔が出ていた。

トウキ「か、髪型がなぜか違うけど…あ、あれはワタルさんじゃないか…?」

絶望に沈んでいたトウキの瞳が、希望の光を取り戻し始めた。

トウキ「ワタルさんだ…ワタルさんだった、良かった…!」

ホッと胸を撫で下ろすトウキの横で、ずっと窓から砂浜を眺めていた

ウシオとシズクが「あーッ!」と身を乗り出した。

ウシオ「Σ俺たちのスペース、占領されてる!」

シズク「Σなんですあの小生意気な赤いシートは!」

トウキ「へ?どうしたの?」

ウシオ「いや、うちのTV班はさっき帰ったんすけど、海に残ったアクア団の方が…」

シズク「待機しなさいと言っておいた団員達、みな海に遊びに出ちゃってますね…」

二人は、団服ベストの胸元から折り畳み式の望遠鏡を取り出し、確認した。

ウシオ「くそっ、アクア団が海でスペース盗られるなんて恥さらしもいいとこだぜ」

シズク「何でしょう・・赤のシートの上…6つ…でかいスイカ玉?」

ウシオ「Σ何だと、でかいスイカ玉が!?」


トウキ「ていうか…君たちチーム・アクアさんは何しに来たんだっけ?」


ウシオ「あ、うちら?言ってなかったすか、ホウエンTVのスポンサーなんすよ」

シズク「そうなんです、局長がうちの団長で、オジサンの自作自演なんですけど!」

ウシオ「まあ、なんつーの。スポンサー見学?」

シズク「形式だけです、ぶっちゃけ海遊びに来ました」

トウキ「フーン、大変だな」

ウシオ「トウキさん、アクア団のことホント関心無いんだな…」

シズク「ウシオさん、ファイト!…アタック!!」

ウシオ「Σな、なあトウキさん…」

トウキ「うん、何?」

ウシオ「なあトウキさん、今年こそだ。今年こそアクア団に入って、わ…


 窓の外のバンナイ「 ワッ★ 」


トウキ「Σわあ!?」

ウシオ「・・れわれと共に、海増やしたら良かったよなー…」

シズク「ウシオさん、ドンマイ!」

突然、窓の外・・三人の視界の真正面にバンナイが現れた。

ド派手に立ちあげた青い髪に驚いて、三人とも飛びのいた。

バンナイ「おどかしてごめんね。トウキさん来てるって噂を聞きつけ、野次馬です」

トウキ「ビックリした!・・君って確か、ホカゲ君の…お兄さんだっけ!?」

バンナイ「Σまだそれ信じ込んでるの?…こ、こんにちはどうも」

トウキ「こんな所で奇遇だな〜、ホカゲ君は元気ですか?」

バンナイ「奇遇ですよね〜。ホカゲさんが海行くと、必ずトウキさんに会うってね」 

トウキ「Σえ、ホカゲ君も…来てるの?」

バンナイ「はい、あっち居ますよ」

トウキ「?どっち?」

バンナイ「あ・・砂浜。ちょっと今、メンドクサイ事になってるみたいで…」

トウキ「どこ?」

バンナイ「…あれ?」

トウキ「あれ?」

バンナイ「砂浜で囲まれてんのワタルさんでしょ。…えと、ホムラさんは…」

トウキ「へ?」

バンナイ「まあ、どっか居るでしょ。…それで、ホカゲさんは… あれ?ホカゲさんは」

トウキ「ま…まさか」

バンナイ「み、みんな自由なんだから〜…ちなみに俺、いまパシリで」

トウキ「まさか…海、入った?」

バンナイ「いや〜どうかな俺、みんなと離れて少し経つんで」

トウキ「見ろ!う、海に…ウキワが浮いてる…ポツンとウキワだけ…もしかして!」

バンナイ「ああ。ご明察、あれホカゲさんの持って来てた浮き輪だよ」

トウキは窓際から飛び出ると、一目散に砂浜を突っ走っていった。


トウキ「Σホ ホカゲ くんー 無事 かー!!」


バンナイ「凄いなぁ一心不乱、愛って盲目だな」

ウシオ「なにが起きたんすか」

シズク「ところであんた誰ですか」





。。。ブクブク

口からでた息が、泡になって浮かんでいって、消える

水深2.5メートルってところか

意外と冷静だな

人間最期のときは、冷静なんだな

前に言ってたトウキさんが、人間の体は浮くように作られてる

息をめいっぱい吸い込めば、沈むことはない…

だが、手遅れだ…

助けてくれ、オレは…

息、吸う間もなく…


ホカゲ「ぅヲヴぉレョォテェア゛ア゛ァァあ!?」

(訳:溺れてらーァ!?)


ホカゲ「ヴゥロアゲア!?グゥロアキア、ドォコゾネ」

(訳:浮き輪!?浮き輪、どこだーーーーァ)


海上は静かなものだった。

水面下では溺れたホカゲが激しくモガイテいるのだが、

波間にチャプン・チャンプンと小さなしぶきが上がってるくらいだ。

いま、海の上に人はいない。

皆が皆、砂浜に現れた珍しい本州のチャンピオンを、見物に行ってる最中だった。

大きな浮き輪が、不自然に沖の方に流されてく様子は誰も気づかない…

気づいてくれない…ホカゲは人生の走馬灯がみえた…

ホカゲ「ヴォッド ヴエヲ二 ズミダガダバダ…」

もう、モガクノをやめたホカゲは、目を閉じ水中で静かに十字を切って拝んだ。

…ふと、気配が。

自分の真上に大きな影がかかった気がした。

うっすら目を開くと、水面に黄色の板・・サーフボードが浮いている。

次の瞬間、バシャッと何か水面を揺らして飛び込んできた。

…ヒトだ!

海水をかき分け、ホカゲに向かって泳いでくる!

しっかりと体を抱えられた瞬間、腕と身体の感覚、ホカゲはデジャビュを覚えた。

力強い泳ぎに身を任せると、ホカゲの顔はあっという間に海面へ出た。

そしてホカゲは黄色のサーフボードの上へ、ヨイショと押し上げられた。


トウキ「無事か?」

ホカゲ「…。」


トウキが、サーフボードに腕をかけてホカゲの顔を覗きこんでる。

胸から下は海に浸かっていて、ボードが流されないようゆっくり泳いでいるようだ。


トウキ「大丈夫」

ホカゲ「…本物?」

トウキ「うん、本物」


トウキがゆっくり頷いたところで、

砂浜の方でも知らせを受けて、ようやく異変に気付いたようだ。

ワタルが海水浴客を散らした。

その横でバンナイが、耳元を押さえて膝をついていた。





【そして砂浜】


トウキ「落ち着いた?」


ホカゲ「お、落ち着いた…すまねぇトウキさん」

バンナイ「まじで溺れてるんですから…、あの短時間で」

ワタル「すまなかったな、オレとした事が気づいてやれなくて」

トウキ「海水も飲んでなさそうだし、大丈夫だよ」

バンナイ「トウキさんの救助慣れには恐れ入るよ、さすがです」

ワタル「おい、本当に平気なのか?」

ホカゲ「Σか、顔近ぇーから」

バンナイ「ワタルさーん、安静にお願いしまーす」

トウキ「もっと涼しいところで休ませてあげたいんだけど…日陰あるかな」

バンナイ「じゃあ一旦、スペース戻ろうか?」

トウキ「大きめのタオルある?身体拭いて、包まってた方がいい」

ワタル「よし、移動だな。ホカちゃん背中貸すぜ」

ホカゲ「Σ歩けます。ワタルさん、オレと変な写真撮られちまうぞ」

ワタル「人命救助第一だろ!?」

トウキ「あの、大丈夫です。僕が背負うから…

ホカゲ「Σ歩けます。ホウエン男児として、立派に砂浜をな」

トウキ「そ、そっか…」

ワタル「なんでガッカリしてんだトウキ」

バンナイ「二人かがりで運んであげれば?騎馬戦のように」

ワタル「じゃあオレ、レフトな」

トウキ「Σあの…じゃあ僕がライトかな」

ホカゲ「オレ、バンナイ君がいい…バンナイ君、おぶってくれ!」


バンナイ「ところで、ホムラさんどこ行ったんですか」


ホカゲ「Σシカト」

ワタル「ホムラ!忘れてたぜ、こんな時に・・あの野郎どこ行ったんだ!?」

ホカゲ「ホ、ホムラな。最後見た時、細っこいガキと手繋いでどっかシケてったぜ…」

バンナイ「え?待って待って…」

ワタル「なんだそれは」

ホカゲ「さっき、海行く・行かないでワタルさんとホムラがモメてたろ」

ワタル「おう! それでオレが声張ったら、うっかり顔バレしちまって」

バンナイ「砂浜、人だかりできたよね。気づいて貰えて良かったですねワタルさん」

ワタル「Σ良くない! ホカちゃんの一大事に気付けなかった」

バンナイ「じゃあ、ワタルさんにタカった人ごみにまかれて、3人はバラけたの?」

ホカゲ「ああ、オレは快適な海へ…そしてウキワ転覆」

トウキ「災難だったね…」

ホカゲ「海のモズクになる寸前だった」

バンナイ「藻屑」

ホカゲ「でもトウキさんが来てたとはっ!オレは幸せものだ!!」

トウキ「Σえ、いや、ほらでも、僕も幸せだから…!?」

バンナイ「はいはい。ラブラブカップル向こうでやって下さい」

ワタル「Σえ、そうだったのか!?」

ホカゲ「なにが?」

トウキ「そ、そ?そんな、そんな事ねぇよな、友達だからな!」

バンナイ「…進展ないなぁ」

ワタル「そんな事より、ホムラだ!」





ピン ポン パン ポーン


案内係『 迷子のお知らせです。

シダケタウンからお越しの、ミツルさま。

ただいま、いとこの男の子・・ミチル君がお待ちです。

迷子センターまでお越し下さい』


迷子のミツル『ち・・違います。ボクがミツルで、いとこのお姉さんがミチルです』

案内係『逆だった?…シダケのミチルさま、迷子のミツル君がお待ちです』

迷子のミツル『ゴ、ゴホ…ま、紛らわしくてごめんなさい』

案内係『いいえ、こちらこそ申し訳ございません』

迷子のミツル『あと・・いとこの婚約者、僕・・苦手なので呼ばないで下さい・・ゴホ』

案内係『複雑なご事情みたいで、ミチルさまの婚約者さんは来ないで下さい』

迷子のミツル『ゴ、ゴホ…ワガママでごめんなさい』


案内係『続けて、迷子のお知らせです。

ちょっと大きいけど・・お兄さん、お名前は?どこから来たの?』


?『俺は、違う』

迷子のミツル『ち・・違います。このお兄さんはボクを連れて来てくれただけです』

?『もういいだろ、坊主。俺は、戻る』

迷子のミツル『あの・・よかったら、お名前だけでも教えて下さい…』

?『いや、いい。名乗るほどの事もない』

迷子のミツル『そんな・・ボク、お兄さんのお名前知りたいです…』

ホムラ『ホムラだ。』

案内係『はい!ホムラ君のご家族の方も、お迎えに来てあげて下さい』

ホムラ『迷子では、無い』

案内係『以上、迷子センターからでした』


ピンポンパンポン♪





マグマ団一同「…なにしてんの」


ホカゲ「まじでかホムラよ、迷子だったか」

バンナイ「冗談が、勘弁してよ大きなお友達すぎるでしょーッ!」

ワタル「おいマグマ団、これは傑作だぞ」

トウキ「Σご家族のみなさん、笑ってないで迎えに行ってあげて下さい」

ホカゲ「いまのでオレは持ち直したぜ、カイナビーチの伝説な」

バンナイ「後々マグマ団に語り継がれてくでしょう」

ワタル「スペース戻ってスイカ割ろうぜ、ホムラも帰ってくるだろ」

トウキ「すげぇ、スイカ持参したんだ?」

ホカゲ「トウキさんもスイカ割ろうぜ!」

トウキ「やった、お邪魔しまーす!…ところで今日、お父さんは?」

ホカゲ「あ。マツブサならフエンに置いてけぼりです」





【一方、アクア団】


ウシオ「シズクさん聞いたか」

シズク「ウシオさん聞きましたよ」

ウシオは腕を組んで、砂浜に立っていた。

シズクは直立で、砂浜を見おろしていた。

朝方からアクア団が、青地に白のロゴ入りシートで取っておいたスペースに、

現在、まったくもって不愉快な赤色シートが被せられ、乗っ取られている。


マグマだん さんじょう! ▲ ワタルも参上!

うーみー! byホカゲ

プール検討 byホムラ<要らねぇ。byホカゲ

ホウエン地方ばかやろー! byワタル<おめーだ。byホカゲ

焼きそば、サイコソーダ、たこ焼き byホムラ

UVカット byバンナイ

カップめん byワタル

ところてん byバンナ<ねぇよ。byホカゲ

あんみつ byバンナイ<い〜な。byホカゲ

アイスクリーム byホカゲ<俺も<俺も<オレも!!!

マツブサごめんな by一同(←ひとりを除く)

バトラーさん誘ったのにまだ眠ってた! byバンナイ<誘うな byホムラ

博士は夜光生。 byホカゲ<夜行性。byホムラ<夜型な。byバンナイ

おんせん☆ byホカゲ<温泉!byバンナイ<温泉!byワタル


赤色シートに書かれた文を解読しつつ、アクア団の二人は嫌な汗を流した。

ウシオ「…寄せ書き?」

シズク「…マグマ団って、こんな下らない集団でしたっけ」

赤色シートに書かれたとある名前に注目して、アクア団の二人は唖然とした。

ウシオ「ホムラって、あのホムラだよな」

シズク「さっき放送で迷子になってたのも」

ウシオ「え…ホムラだよな」

シズク「え…ホムラですよ」


ホムラ「おい、アクア団の白黒コンビ」


二人の前方から、フラ〜っと水着姿のホムラが戻ってきた。

ホムラ「俺に用か?」

たった今、迷子放送されたばかりの男だが、他人事のようにシレっとしている。

ウシオ「やっぱテメェか、嘘だと信じたいし色々聞きたいが…やってくれたな」

シズク「久しぶり」

ウシオ「Σ友達か!」

ホムラ「そこは、うちの場所だ。近づかないでもらえるか」

ウシオ「テメェ、うちの青があったろ…アクアブルーは危険って認識できないのか?」

ホムラ「いまはうちの赤色だ、消えろ」

ウシオ「ホムラさんよ、まわり…気づいてるか?アクア団だらけだぜ」

ホムラ「雑魚の寄せ集めだろ」

シズク「Σそんな事ナイです、このホイッスル吹いた瞬間、あなたは囲まれます」

ホムラ「だから寄せ集めだ。知らせが無いと、俺の顔に気づかない連中が」

 ウシオ「…なんでこいつ、こんな生意気なんだ」

 シズク「…図太いんですよ、むかつきますね」

ホムラ「ミナモに帰んな、カイナはお前らの縄張りじゃねぇよ」

ウシオ「お前こそ山奥に帰りな、都会は疲れるだろ?」

シズク「ていうかアクア団員は、ホントどこ行ったんですかね」

不安になってきたシズクが、キョロキョロと辺りを見回した。


ワタル「おう、ホムラ発見!」

ホカゲ「ホムラァ、ばかやろー迷子になりやがって!」

トウキ「ホ、ホカゲ君・・まだ走っちゃダメだ」

バンナイ「ホムラさん、迎えに行ってあげられなくてごめんねー」


海の方から、こちらに向かって歩いて来る一行がいた。

ウシオとシズクは、ハッと気づくと悔しそうな顔で身構えた。

ウシオ「やべ、マグマ団増援か」

シズク「…って、みんな海パンじゃないですか、ただの海水浴客ですよ」

ウシオ「…本当だ。情けねぇの、今日はホムラも海パンだしな、アハハ!」

ホムラ「見てんじゃねぇよ」

シズク「すみません」

ウシオ「Σ謝るな!」


トウキ「あれ…っと、アクア団さん!?」


ウシオ「Σん、トウキさん!?」

シズク「Σトウキさんと、マグマ団!?」


ホカゲ「おお!アクア団か!!」

バンナイ「へぇ、あんたらがアクア団」

ワタル「アクア団?…環境大切団の片割れか」

バンナイ「Σまた勝手に変な肩書つくるー…」

トウキは寄ってくると、アクア団とマグマ団を交互に見比べた。

トウキ「えーっと、君たち友達同士だった…?」

ホカゲ「いや、こいつらとダチになった覚えはありません」

バンナイ「トウキさん。簡単に説明すると、対立企業みたいなものです」

ホカゲ「つまりだな、シルフとデボン的なアレ」

ワタル「Σシルフとデボンなんかを一緒にするな!!」

トウキ「Σうわ!デボンって大っきな声で言うなーッ!!」


ホムラ「おい…寄こせ、俺の頼んだやつ…」


バンナイ「Σはい!あ、買い出しの… 焼きそば・サイコソーダは売り切れ…あとは」

ウシオシズク『タコ焼きだろ… プッ』

ホムラ「 なぜそれを」

ホカゲ「なあアクア団諸君、オレら休みなん。争うのはやめようぜ」

ホカゲが前へ出て、平和的提案をしたのだが…

アクア団二人は、おもむろに小首を傾げた…

ウシオ「はあ〜?お前ダレだよ」

シズク「気安く話しかけないで下さい」

ホカゲ「Σオレ、ホカゲ」

ウシオ「はあ、ホカゲ?」

シズク「はて、ホカゲ?」

ウシオ「したっぱ?」

シズク「あんたダレですか」

ホカゲ「…え」

 バンナイ「Σああ!ごめんなさいホカゲさんのアイス溶けてら」

 ホカゲ「…え!?」


ホムラ「そんなもんだろ、アクア団の情報網だからな」


ホカゲ「お、おれのガラスのハートが…確かに外回りの任務はあまりしないが」

ウシオ「Σえ、こいつ結構偉いの!?」

シズク「Σホムラとかホカゲとか…名前似てるからスルーしちゃってたりして」

ウシオ「うわ★俺たち早とちりアクア団」

シズク「しかも☆幹部」

ホカゲ「そんなんあってたまるか」

バンナイ「アクア団って、どうもマヌケですね」

今度はバンナイが前へ出て、鼻で笑ってみせると…

アクア団二人は、アッ!と身を乗り出して指差した。

ウシオ「Σあ、お前さっきの窓辺の奴!」

シズク「Σあなたもマグマ団か…トウキさんから離れなさい!」

トウキ「なんか や…やばくないか…。対立企業って大変だなあ…」

バンナイ「トウキさん。イイ…そのままのアンタでいて下さい」

トウキ「うん、わかった。 なにが?」


ワタル「フムフム。…そ、れ、で!?」


ついに。満を持して、ワタルがドシッと前へ出た…

さすがにオーラを感じ取ったか、アクア団は二人揃ってのけ反った…

ウシオ「うわ、なんだ!こいつもマグマ団か!?」

シズク「次から次へと…実際、団員に囲まれたのは我々でしたねウシオさん!」

ウシオ「Σほんとだぜ!!」


ワタル「ゴホン、君たち。ここはこの オレ に免じて引きたまえ」


ホムラ「…。」

ホカゲ「すげぇ大物発言だが、なんかめんどくさい雰囲気に…」

バンナイ「ワタルさん。今の流れだとワタルさんが悲しくなるだけですよ」

トウキ「アクア団もやめろよ!せっかく海に来たんだから楽しくやろうぜ!!」


ワタル「オレに逆らうなよ、アクア団」


ヌラァァァとアクア団へニジリ寄りながら、ワタルは不敵に笑ってみせた。

ウシオ「どーっかで見たような」

シズク「なーんかで見たような」

バンナイ「アクア団さん、顔見てピンとこないなら逃げた方がいいよ」

トウキ「この人!さっきお客さんに囲まれてただろ、本州のワタ… モゴモゴ。

とっさに、トウキは抑え込まれた。

ホカゲ「Σみなまで言うな!?」

バンナイ「Σそれ以上はダメですよ!?」


ワタル「お前らも、わからないのか。わ…わからないんだな?」


怒りのボルテージの上がってきたワタルの赤い髪が、

超常現象でいつもの様に立ち上がってきた。

ウシオ「あ!?あんた本州の… Σぶ」

シズク「チャンピオンワタ… Σぶ」

ウシオとシズクは、顔面になにか直撃を受けてパタッと倒れた。


ワタル「遅い遅い遅いィィィ! 気づくの遅すぎだホウエン地方ばかやろー!!」


ホムラ「…スイカ」

ホカゲ「…オレらが運んだ大玉スイカ投げやがった」

バンナイ「…ワタルさん。ポケモンだけでなく、スイカ大好きクラブからも追われるよ」

トウキ「うわ…あんなでっかいスイカ投げたのか、勿体無いなあ」


ワタル「お前ら、心・仕切り直してスイカ割りだ!」


ホムラ「…メシ食ってから」

ホカゲ「ホムラ食いしん坊な。バンナイ君は、アイス買い直してきておくれ」

バンナイ「無理。トウキさん、何か食べる?」

トウキ「へ?…じゃあカップ麺!」

ワタル「Σそれはオレだ」

ホムラ「湯は…必要ないのか」

バンナイ「あ…」


スイカのウシオ「アクア団、全員集合〜…言ってみただけ。腹減ったよ」

スイカのシズク「どうせ寄せ集め団員ですよ、誰もきませんよ〜だ…」

スイカのウシオ「イズミちゃ〜ん…」

スイカのシズク「イズミさん…たすけて」

沖の方から、呆れたトーンでキャモメが鳴いた。





【砂浜、とある場所】


ダイゴ「キミ、遅いよ。サイコソーダ買いに行くだけで、どれ程待たせるのかな」

カゲツ「そ〜れが、ファンにバレて囲まれちまったのよ」

ダイゴ「え、キミのファン?」

カゲツ「ほらよ、サイコソーダなんかやめてカクテルのみな」

ダイゴ「キミ、頭が眩しいよ」

カゲツ「チャンピオンに乾杯」

ダイゴ「何だこれ、青いの。海に捨てる」

パシャ

カゲツ「Σさよなら、ブルーハワイ」

ダイゴ「キミな、昼間っからアルコールは、よくないぞ」

カゲツ「会話かみ合ってねぇよ」

ダイゴ「さて。トウキ君の中継も終わったし、なんだか騒がしいし…僕は帰るよ」

カゲツ「実家?」

ダイゴ「まさか。ムロタウンだよ」

カゲツ「陰湿」

ダイゴ「え、なんで?だってトクサネの家ひとりで寂しいんだもん」

カゲツ「俺んとこ来ないか?」

ダイゴ「来ないなぁ。冗談は髪型だけにしてくれよ」

カゲツ「ルネ行けよ」

ダイゴ「ふふ…死んでもいやだ」





おわり