迎春



【末吉】

ほどほどに良い年となるでしょう。
ラッキーカラーは赤。
ラッキーモチーフはハート。
今年のアナタは“赤いハート”のアイテムが ◎ 沢山集めて幸運を掴みとろう!


マツブサ「新年早々、やれ困り果てましたよ」


ホムラ「マツブサ」
ホカゲ「どうしたんだマツブサ」
バンナイ「ていうか、何ですかこれマツブサさん」


マツブサ「はい。今年の“おみくじ”の結果ですよ」


ホムラ「要らん、捨てろ」
ホカゲ「末吉ってところ、すげーマツブサっぽい」
バンナイ「こんなの、どちらで引かれたんですか」


マツブサ「フエンの神社で…ちょっとだけ…若向けのクジがあったので」


ホムラ「なぜお前が引いた」
ホカゲ「今年もまだまだ諦めないな、マツブサ」
バンナイ「だから軽い感じの、残念なこの結果ですよ」


マツブサ「それでね。このクジの結果を、取り入れてみようと思ってね」


ホムラ「……」
ホカゲ「結果って、“赤いハート”ってところか?」
バンナイ「マツブサさん意外と似合うかもね…赤いハート」

ホカゲ「赤いハートの座布団でも買っとけ!」
バンナイ「クッション」
ホカゲ「おお! 赤いハートのクッションでも買っとけ!!」


ホムラ「――俺もう、帰っていいか」


ホカゲ「あとはマツブサ、赤ハートの…マグカップとか!」
バンナイ「ちょっと。独り身でそれは悲しいよ」

ホカゲ「赤いハートの…トランプカード」
バンナイ「安上がりですね」

ホカゲ「赤いハート柄のパンツだ!!」
バンナイ「あのアニメみたいな…、マツブサさんなら似合うかもね」

ホカゲ「売ってるか?」
バンナイ「俺、作ってあげましょうか?」

ホカゲ「え…」
バンナイ「え!?」

ホカゲ「欲しい…」
バンナイ「2500円」
ホカゲ「Σ金取るのかよ!」


マツブサ「実はこのクジね、今年のマグマ団の運勢…と思って引いたんです」


ホムラ「尚更、なぜお前が引いた」
ホカゲ「マツブサ新年早々、余計なお世話だぜ」
バンナイ「そういうの止めた方がいいですよ、本当に」


マツブサ「どうでしょう今年は、マグマ団を上げて、赤いハートの年」


ホムラ「……」
ホカゲ「そんなん喜んで受けるの、M団じゃワタルさんくらいだぞ」
バンナイ「ワタルさんもう居ないけどね…」
ホカゲ「…ォォォ…」
バンナイ「ご、ごめん…きっと、ワタルさん元気だよ…!!」


マツブサ「愛、あふれる、組織力!」


ホムラ「……」

ホカゲ「マツブサ、やべぇぞ。ホムラの顔の雲行きがあやしいぞ…!」

バンナイ「それ踏まえて聞きますが、具体的にどんな活動するんですか…」


マツブサ「Σえ! 活動…!?」


ホムラ「……」
ホカゲ「違うんか?またワタルさんに慈善集団と笑われるネタ増えるかと思ったぜ」
バンナイ「だからワタルさんもう…
ホカゲ「おバーンナーイ」
バンナイ「Σよ、よっぽど懐いてたんだね、すいませんね!!」


マツブサ「やっぱり議論すべきだね!活動に持ってくのは気づかなかったですよ」


ホムラ「……」
ホカゲ「何するつもりだったんだマツブサ」
バンナイ「マツブサさん、今年こそは少しでも大地増やしてみせてよ」


マツブサ「では発表しまーす!今年は…


 PPPPPPPPPP


マツブサ「あ、あれ…?」


ホカゲ「あ、悪ィ。オレに着信が」
バンナイ「トウキさんから?」

ホカゲ「おお! すげぇなバンナイ君、当たりだトウキさんから」
バンナイ「ホカゲさんに連絡くれるご友人なんてそのくらいでしょ」

ホカゲ「だよな! もしもしトウキさんかー!!」

バンナイ「…会議中ですけどォ」



トウキ『――も…もしもし!』

ホカゲ「トウキさん、元気か!」

トウキ『明けましておめでとう、ホカゲ君』
ホカゲ「どうも、おめでとうございます」

トウキ『個人の年賀状を、送ろうと思ったんだけど…都合で出せなくて』
ホカゲ「構わない構わない」

トウキ『せめて電話でご挨拶をと思って』
ホカゲ「そっか。今、ムロジム?」

トウキ『え?! いや、それが…』
ホカゲ「?」


 電話の向こうの声『トウキ君ー、あれ、どこ行った?』

 電話の向こうのカゲツ『電話だってよ』

 電話の向こうの声『きみ、そこ、トウキ君の席ね。僕の隣は』

 電話の向こうのカゲツ『ひぇ! チャンピオン!!』

 電話の向こうの声『あ。お年玉あげようか』

 電話の向こうのカゲツ『Σアザース!』

 電話の向こうの偉そうな声『ダイゴ。上座はルネって伝統なんだけど』

 電話の向こうの声『お前らルネは、向こうな シッシ』

 電話の向こうの美しい声『タハハハ! このこの〜ムッシュ〜ツワブキ〜』

 電話の向こうの声『アダン先生、今年も父を宜しくお願いします』

 電話の向こうの美しい声『モーマンタイですともよ』

 電話の向こうの気苦労してる声『今年もト、トウカジムを宜しくお願い致します』

 電話の向こうのフワフワおじさんの声『ペッ シカトじゃし〜』


トウキ『――ホカゲ君。実は今、ホウエンリーグ会合の新年会の最中で…』

ホカゲ「う、後ろで V.I.P どもの喧嘩始まってねぇかトウキさん…」

トウキ『こ、心が折れそうで…僕』
ホカゲ「フエンの新米ジムリーダーも宜しくな」

トウキ『へ?』 
ホカゲ「フエンジム」

トウキ『あれ?あいつ…アスナ、今日来てないよ?』
ホカゲ「あれ?」

トウキ『あれ?ちょっと待って‥ おーい!カゲッさん、今日アスナ来てたか?』

 電話の向こうのカゲツ『来てねぇよ〜うるせえ〜!』

ホカゲ「Σ!!(カゲツン)」

トウキ『会合の連絡メール行ってるはずだけど…』
ホカゲ「ま、まさかそれは… パソコンから…!?」

トウキ『そうそう、ジムの必需品・パソコンから!』
ホカゲ「だ〜よな〜ぁ!!」

トウキ『あ。ごめん、チャンピオンが呼んでるから…ハァ。電話切るな』
ホカゲ「すげぇ、深い絶望のため息だったぞ」

トウキ『そ、そんなトンデモない!じゃあ、また今度な!』
ホカゲ「おう、また遊んでくれー」

 電話の向こうの声『トウキ君はー、あ。いたいた。何してるの電話?』

トウキ『ギャア! な、何でもな‥ 俺、今戻ります…!!』


 プツ (切った)


ホカゲ「…カオス」

バンナイ「何が?」
マツブサ「も、もう良いかい?」
ホカゲ「おお! すまねぇな、もういいぞ!」


マツブサ「はい。気を取り直して今年は…団服を、リニューアルします!!!」


ホムラ「……」
ホカゲ「……」
バンナイ「だ、団服…」


マツブサ「赤色はマグマ団服でクリアしてるでしょ、つまりハートですよハート!」


ホムラ「……」
ホカゲ「団服に関してはマツブサ、ほんと一番熱いよな」
バンナイ「マツブサさん、あ…あの団服に…更にハートを足したいの?」


マツブサ「いや! 団服を一新するんですよ、赤いハートでね!!」


ホムラ「……」
ホカゲ「赤いハートの団服って、どんなだ…」
バンナイ「マツブサさん、原案用意しました?」

ホカゲ「オレら、今の団服だって着用して外出するのに勇気がいるんだぞ…」

バンナイ「俺も入団して、下っ端のあの団服を渡された時は度肝を抜かれたよ」

ホカゲ「寝首かっ切られるぞマツブサ」
バンナイ「団員ストおきますよマツブサさん」


マツブサ「まあまあ君たち。絶対似合うから、マントも残したよ コレどうだ!」

 ぽわーん (デザイン案)


ホムラ「……」
ホカゲ「これは」
バンナイ「こ、今年からは女子団員歓迎ってことで宜しいですね」
ホカゲ「よ、宜しいぜ。女子だな女子」


マツブサ「き、きみたち一人一人の顔を思い浮かべたらこうなったんですよ!!」


ホムラ「 」

ホカゲ「Σホムラ、息してるか!?」
バンナイ「危ないよ、これ、ホムラさんにも着せるつもりなの?」


マツブサ「ご利益ありそうなので…さあ! どうでしょう!!」


ホカゲ「じゃあな、最後にホムラにジャッジを託す」
バンナイ「そうですね、泣いても笑ってもこれで決めますかね」


マツブサ「ホ、ホムラ君。たのむよ、もう今の団服飽きたって言ってたでしょ…!」


ホカゲ「ホムラ!」
バンナイ「ホムラさん!」





ホムラ「 却下 」




マツブサ「Σああああ〜そんな…!!!!」


ホカゲ「当たり前だろう」
バンナイ「あんたほんとにいい加減にして下さいよ」


ホムラ「ところでこの原案だが…」


 グシャ ビリ グサ ドスッ


ホムラ「…おっと。原案とは何のことだったかな」


マツブサ「……」
ホカゲ「今年も、何もなかったよな」
バンナイ「今年も、そうですね」
マツブサ「こ、今年も宜しくね…」
ホカゲ「おめでとうな」
バンナイ「宜しくお願いします」


ホムラ「どうしたマツブサ、静かだな」





(※毎年の繰り返し)





おわり