A団ジャック



トウキ「がんばれ、ホエルオー!

――大丈夫だ、絶対に僕らが海へ還してやるからな!」



今より数時間前。
ミナモシティの浜辺に、巨大なホエルオーが打ち上げられてしまった。

ミナモといえば、ホウエン海の玄関。
『ポケ命、第一!』として港は封鎖され、漁船に客船、定期船、すべて海の上で往生し、余裕ある船は他の港を目指した。

時間の経過とともに徐々に体力を奪われていくホエルオー。住民、船乗り、旅行客などが集まり出し、みんなで祈って助けを待った。

海の危機(ピンチ)は、自らの危機(ピンチ)。
誰よりも早く颯爽と現れたのは、遠い遠いムロ島のポケモンジムリーダー、トウキ。あまりに急いで飛び出してきたので、ジムのカギ以外なにも持ってこなかった!

トウキは、青い装束の地元青年団に渡された拡声スピーカーを手に握ると、自らもありったけの声を振り絞って、浜辺の上のホエルオーにエールを送った。

真夏の太陽にジリジリ焼かれ、ぐったりしていたホエルオーは、少しだけ目を開いて、応援するトウキを見つめた。

――トウキに、助けを求めている!



トウキ「みんな! ホエルオーは無事だ! 僕に力を貸してくれ!」


トウキはスピーカーを投げ捨て駆け寄ると、自分のポケモンと一緒になって、素手で巨大すぎるホエルオーを海へと押しやった。

もちろんホエルオーは、まったくこれっぽっちの距離も動いていない。
しかし、この人気若手のジムリーダーが、身を粉にして懸命に尊い命を救おうとする姿は、中継映像として流され、ホウエン全土が感動……しつつある。




【TV中継】


解説者「野生のホエルオーついて、ルネシティのミクリさんとお電話がつながってます」

ミクリ「はっ、ごきげんよう。ルネシティです。ホウエルオーについて…だったかな?」

解説者「さようにてございます」

ミクリ「ホエルオーはヒレはくっついてるけど、別に陸でも息できるから無理やって海へ放たなくても全然大丈夫なのだよ」

解説者「そ、そうでございますか?」

ミクリ「僕が言うんだから、そうでしょ。そもそも、なぜに僕を電話で呼んだの」

解説者「麗しい映像は見れませんが、声が届きますので」

ミクリ「僕の…声が?」

解説者「そうです、あなたの、声です」

ミクリ「そんなことより、君たち! 私の新作で、年上パトロンとのドロ沼愛憎――“心身共に化石(シカバネ)”――よろしく!」

解説者「先日そちらのお師匠様が、年下アマンとの甘い生活――“心身共に宝石(ジュエル)”――出版されてませんでした?」

ミクリ「はて。…別物だ」

解説者「Σやや…」

ミクリ「おい、きみ。ルネのファミリに対する挑戦状か…?」

解説者「皆さんぜひご愛読のほど!」

ミクリ「よきかな。それでは皆さん、さようなら」




【その頃のマグマ団】


ホカゲ「Σひでぇ解説だ。ミクリは喋るの向いてねーよな」

マツブサ「スタジオ呼んでしまったら暴走に収拾がつかなくなりますね」

ホカゲ「世渡り的なこと、アダン先生は教えてくれなかったんだな」

マツブサ「ほら、あの方のご商売上の線引きなんだと思うよ」

ホカゲ「ほうほう。肝心なところは教えないのか、お師匠」

マツブサ「師匠の技を、弟子は結局は盗んで覚えるってやつだね」

ホカゲ「おお〜…アダン先生はやっぱりすげえよな!」

マツブサ「もしアダンさんが消えてしまったら、ルネは共に消え滅びる運命かも…」

ホカゲ「Σルネ文明が!? なんか儚すぎて、バラの散る花びらが見えた…」


ワタル「ホウエン人は、ルネ族の緻密な計算にのせられてるな〜」


ホカゲ「ワタルさん、他地方民のクセになんですか!」

ワタル「お前ら、たった今のミクリの話しを聞いてよく儚いだ花びらだ言えるな」

ホカゲ「Σ恥ずかしいぞ、オレとしたことが!!!!」

ワタル「だいたい、アイツの解説聞いてわかったか? ありゃNGだろ。」

ホカゲ「ワタルさん、怒るなよ。ルネことばはホウエン人のタシナミなんです」

マツブサ「ワタル氏も解説するんですか、すごく熱くなりそうですね」

バンナイ「ワタルさんはジョウトのラジオ塔、出禁だよ…」

ワタル「ラジオじゃねぇ! いまはテレビの話だ!!」

ホカゲ「Σなにやったんだ」

マツブサ「Σワタル氏なにやったんですか…って、あれ?」


pppppp


マツブサ「あ、ホムラ君からの定期連絡ですね。ちょっと出ますね」

ホカゲ「おお! マツブサ、手短にな!!」」


マツブサ「こちらマツブサです。マグマ団本部アジトともに異常は多分ありません」

ホムラ『ホムラだ。いまトウカの森にいる、デボンは退社した』

マツブサ「退社おめでとうございます」

ホムラ『カナシダトンネルで部下が一名ヘマをやったので、帰還させる』

マツブサ「ラ・ジャー!」

ホムラ『…その後、襲撃犯の様子はどうだ』

マツブサ「日課のトレーニングから帰ってきて、一緒にテレビを見てます」

ホムラ『そうか… 俺が帰るまで絶対逃がすなよ』

マツブサ「いま近くにいらっしゃるので、よかったら話してみる?」

ホムラ『その必要はない。――切る』


プツ (通信切断)


マツブサ「やれやれ…とりあえず順調のようで安心しました」

ホカゲ「おお! さすがホムラだな。オレもまだ先だけど任務の準備しとこ」

バンナイ「俺もまだ先だけど任務の準備とシュミレーションしとこー」

ワタル「じゃあ、オレも…!」

マツブサ「Σえ ワタル氏ははやく流星の滝いくといいですよ!?」

ワタル「しまった流星の滝!!!!」




【ミナモの浜辺】


トウキ「そんなんじゃあ、ダメだ! もっとアリッタケノチカラを込めて、押しまくるんだ!」


 せぇーの……!

 わーっしょい、

 わーっしょい、

 わーっしょい、ダメだもっと振り絞って押しまくれ〜!!

 わーっしょい、ハリテヤマ!へばるな、腰を上げろ〜!!

 わーっしょい、ギャラリーも見てないで手伝ってくれ!!


トウキは、精一杯に叫んだ。
人気ジムリーダーが、砂まみれになりながらも懸命してるこの姿。心を動かされ、その場の誰もが助けに入った。しかし……真夏の炎天下。人間もポケモンも、リタイア続出。


トウキ「ち、ちくしょ…なんて暑さだ」


目の前に広がる大好きな碧い海へ、このまま飛び込んでしまいたい。
ダラダラ流れて止まらない汗を、砂まみれの腕で拭う。

と、ここで青い装束の地元青年団のひとりが、トウキに飲料水を差し出した。


トウキ「ああ、ありがとう。キミらはいち早くサポートしてくれたな…」

ウシオ「おいしい水、うまいすか」

トウキ「おいしい水、うまいよな!」

ウシオ「トウキさん、たとえばだ。たとえば、こんな砂浜もずーっと海だったら…

トウキ「Σあ! ホウエルオーが動いたっ、よーしもうひと踏ん張りだ!!」

ウシオ「ずーっと海だったら、た 楽しいなー…」


青装束の男の話の途中だったが、トウキはさっさと戻って行ってしまった。


シズク「ウシオさん、まだチャンスはありますから」


手を伸ばして固まる男のその後ろから、別の青装束の男が言った。
砂上のホウエルオーは、少しずつだが確実に海へ近づいている。


ウシオ「…そういや、うちの団長は?」

シズク「陸の重機と船の手配が完了したので、こちらに向かってますよ」

ウシオ「あのヒゲオヤジ、なにをモタモタして…」


――ちょうどその時、
砂浜に面した道路に、大型のトラックが2台走ってきて、停車した。
後ろの荷台には、それぞれシャベルカーとクレーンが乗っている。

トラックからこれまた青い装束の男たちが降りてきて、砂浜でボヤいていた二人組に、飛びハネながら手振りで何か合図をした。


ウシオ「そろそろオッサンも来るだろ、先に浜辺で作業するんだ」

シズク「陸路組、ご苦労さまです。砂浜にまわって来て下さい」


青装束の青年団たちは、ホエルオーを押していた人々を退かせると、砂浜に重機を入れて、ホエルオーを囲み、救出の準備を始めた。

ひたすら人力で頑張っていたトウキだが、あとの自分の役目はひたすら応援すること!――と、休みもせずエールを送り続けた。


トウキ「地元青年団の皆さん、ご協力感謝します!」

シズク「いえいえ、我々は海のスペシャリストですので、後はお任せ下さい」

トウキ「Σキミ達は、海のスペシャリスト!?」

ウシオ「そう、我々は生命の源・海を守って増やしていく活動をするアク…

トウキ「Σあ! なんだあれは、一隻の船が猛スピードでコッチへ向かってくるぞ!」


トウキは、男の言葉をさえぎって海の方を指した。


ウシオ「――ア団だから、トウキさんも一緒に俺らと海活動すればいいなー…」

トウキ「大丈夫なのかあのクルーザー…浅瀬きちゃって座礁しない?」


青装束のひとりが、望遠鏡を胸元から取り出し、トウキに渡した。


シズク「操縦するのは、我々組織の団長ですのでご安心ください」

ウシオ「あの操縦室のヒゲ面が見えるか、海のプロだぜ」


渡された望遠鏡を覗いて、トウキはびっくりした!


トウキ「Σうわっ! ほんとだ、ヒゲがすげぇな!!」

シズク「あのヒゲ、自慢なようで実は気にしてるので本人には言わないで下さい」

トウキ「そうか。じゃあ、いまの発言…僕らだけの秘密な!」

シズク「Σ超爽やかっ!!」

ウシオ「ホエルオーの方の準備は終わったようだな」


陸での作業が終わったホエルオーは、シートに包まれていた。

ずり落ちないように、しっかり固定され、海に引き戻すための、太いロープが何本か伸びていたのだが…


トウキ「あのロープ、船に設置するんだろ」


何故か、それを見たトウキが準備体操を始めた。


シズク「Σうちの組織にまかせて大丈夫ですから…」

トウキ「ポケモンじゃだめだ、人間が手で渡さないと…あの距離なら僕が速い」

ウシオ「Σお、おい…泳ぐのか!?」


一応、ボートがあるんだ…と続けたかった。
トウキは、青年団の制止を振り切って、太いロープを手に持った。

何だか騒がしいその様子に気づいた中継のテレビカメラは、中心にいるトウキが何かしでかすだろうと思い、ズームで映しはじめた。

その次の瞬間……!

トウキは、着ていたシャツに手をかけると、一気に脱ぎ捨ててしまった。
ガッシリと締まった肌色が画面に映しだされた。

ミナモ発、ホウエン全土に黄色い悲鳴が上がった。




- ただいま放送を自粛しています -

生中継に、綺麗な海辺の映像が映された。




【その頃マグマ団】


ホカゲ「Σトウキさんが規制されとる!」

マツブサ「Σこら! なぜ規制をするのさホウエンテレビ!」

バンナイ「みんなパニックになるな!ズボンは履いてるからな、ズボンは!」

ワタル「アタマ大丈夫なのかホウエン地方」

バンナイ「あ、中継もどってきた…ロープを巻きつけて海を泳いでるよ」

ホカゲ「よよよ、良かったな。てか泳ぎがうめぇな!!」

マツブサ「なんて綺麗な泳ぎなんでしょうか…」

ホカゲ「Σ見惚れるなマツブサ」




トウキは、波間を力強いクロールで泳いでいった。

先ほど現れ、エンジンを止めて停泊している船に近付いたところで、トウキは一度深く海へ潜り、肩から腰に巻いたロープを素早く外すと、再び海面へ顔を出し、船の上で手を伸ばす、黒い服の大柄な男へと渡そうとした。


トウキ「船長、後はたのむ… Σうわっ近くで見るとヒゲが濃いなぁ!!」

トウキは思わず、叫んでしまった。

トウキ「Σうわしまった! 念を押されたのにヒゲのこと触れちまった!」

トウキはうっかり、またもや叫んでしまった。
船の上で、ニコヤカに手を差し出していた男の顔はみるみるうちに曇った。


アオギリ「おじさ〜ん、ちょっとアジト戻ってヒゲを剃ってくるね…」


船の上の男は泣きそうな顔でグルグルと錨を巻き上げ、傷ついた胸を押さえながら、フラフラと操縦室へ戻っていった。

そのまま船にエンジンをかけると、ヨーソローとUターンして北東へ発進した。


トウキ「Σおーい、ヒゲのおっさん! この手のロープ、まだ渡してないぞー!」


エンジン全開、どんどん船は去ってゆく。

トウキはカチンと頭にキタ。


トウキ「ちょっと待てよ! ホエルオーをあんたは見捨てるのか!!」


トウキは、波に揺れたるんだロープをグィッと手繰り寄せると、一心不乱に逃げ去る船の後を追いかけはじめた。

トウキ「待て〜! ホエルオーも連れてけ〜!!」


グイッ……

ウシオ「Σあ!? ホエルオー海に引きずられてくぞ!」

ググイ……

シズク「Σトウキさんの泳ぎのパワーでホエルオーが海に還ってく!?」

ズルズルズル……

ウシオ「Σや、やっぱりすげぇ!トウキさん、アクア団にはアンタが必要だ!!」

シズク「ト・ウ・キ ト・ウ・キ ト・ウ・キ!」


砂浜の青い集団から、トウキコールがわき上がった。

ホエルオーは順調に、大海原へと引かれていった。


しばらくすると、トウキが、平泳ぎでゆっくり帰還してきた。
彼が浜辺へ上陸すると、中継カメラは、もはやフッ切れたようで、「これでもか!」と言わんばかりに、トウキをズームUPで映し始めた。

トウキは砂浜に仰向けで寝そべり、水滴をポタポタ落としながら、呼吸を整えた。と、そこへ先程の青い集団の二人が、中継カメラを睨みながら寄ってきた。


トウキ「はぁ。なんとか船に追いついてロープを引っかけたけど…」

ウシオ「普通、追いつけね…ないっすよ!」

トウキ「ホエルオーの命より自分のヒゲを取るなんて、なんて大人だ…」

シズク「うちのアオギリがほんとスイマセン」

トウキは体を起こすと、男に向かって叫んだ。

トウキ「水分っ」

ウシオ「Σはい、水分!」


トウキは飲料水を受け取ると一気に飲んで突然ブハッと噴き出した。


トウキ「炭酸…、これ、サイコソーダじゃあないか! ビックリしたあ!」

シズク「Σぜんぶブッかかりました」

ウシオ「あの、トウキさん…」

青い装束のひとりが、ドギマギしながら声をかけた。

ウシオ「俺たちと一緒に、海を増やす活動をしませんか…?」

トウキ「え?」

ようやく男は、言いたかった言葉をいえてヨッシャー!と拳を握った。

トウキ「うーん、海はすきだけど別に増やす必要ないだろ」

ウシオ「え!?」

トウキ「海を綺麗にする ってんなら、いつでも付き合ってやるよ!」

ウシオ「でもトウキさん、水タイプのポケモンが…」

トウキ「水タイプのポケモンのことなら、そうだなルネの人に掛け合ってみなよ」

ウシオ「え」

シズク「そうでした。ホウエンの水タイプのジムは、ムロじゃなくてルネでした」

ウシオ「Σあ!? トウキさんって、水トレーナーじゃねぇの!?」


トウキ「よく間違われるんだけど、僕は格闘タイプのトレーナーだよ!」

そんな誤解は慣れっこだ! トウキは親指を突き出してグーを作った。


ウシオ「あーーーーーーー!!!!」

シズク「しまった、今日こそトウキさんをスカウトしようと思って…」

ウシオ「思ってたんだよ!」


二人は頭を抱えて暴れると、互いの頬をバチンッと思いっきりビンタし合った。


トウキ「落ちつけよ、大丈夫か?」


続いて二人は、他の青装束の男たちに、手を叩いて合図を送った。合図を受けた男たちは、元気よく敬礼をすると、二人の傍に荷物を持ってきた。

二人はそれを、トウキの胸に押しつけた。綺麗な青色に包装されて、水色のリボンがついた箱……プレゼントのようだ。


トウキ「あ…なにこれ。僕に?」


トウキはプレゼントBOXを受け取ると、リボンを引っ張って開けてみた。


 A


トウキ「なんだこれ、Tシャツか?」

ウシオ「う…うちの組織のアパレル部門で出してるんだけどロゴT…」

シズク「チームアクア、ミナモの若い子に大人気なんですから」

ウシオ「よ、よかったら…き、着てくれよな…」

トウキ「うん、うんいいよ?」


ゴソゴソ


トウキ「チームアクア、似合う?」

早速トウキは、シャツを着てみた。

ウシオ「完璧似合う〜! …うう、ついでにうちの団服もサービスだ…!」

トウキは、更に大きなプレゼントBOXを無理やり押しつけられた。

シズク「こっちはアクア団の団服です、あ ウシオさんこれ幹部ベスト…ッ」

ウシオ「トウキさんお迎えするなら幹部だろ!!!」

シズク「さすがにそれはマズイんじゃ…」

トウキ「う〜ん… コッチはいらないや…」


  A

□ 〓 □

○  ○
○  ○
○  ○
○  ○


トウキは広げてみたものの、あんまりタイプでなかったらしく返却した。


ウシオ「Σエーーーーー!?」

トウキ「だって、コレ着たらあやしいキミ達とお揃い集団になっちまう」

シズク「ウシオさん勧誘はまたの機会にしましょう。団長とホエルオーが心配です」

ウシオ「ウシオショーーーック!! だが、諦めんぜ。トウキさん、またな!」

シズク「撤収〜、撤収〜!!」


ホイッスルを鳴らしながら、青い装束の集団は、そそくさと退散した。


トウキ「なんだったんだアイツら? まあ、なにはともあれ一件落着だ!」


トウキはちょっと気分良く、貰ったTシャツを眺めた。




【その頃のマグマ団】


マツブサ「あーくーあー団だよ!???」


マツブサがテレビに張り付いて、悔しそうにしていた。

ホカゲ「おーいマツブサよー、オレらのTV見る権利をブンどるな」

バンナイ「で? で? トウキさんどうなったの??」

ワタル「おい、アクア団ってなんだよ。マグマ団の兄弟か?」

ホカゲ「あれ、何だっけかマツブサー」


マツブサ「えーと…アクア団とは。ミナモシティを根城にしてホウエン全土に悪さをする組織です。彼らの指針は、海を増やして水ポケモンとアクア団の楽園を造る事です」


ホカゲ「そーだっけ?」

バンナイ「いや、そんなんじゃ無かった」


マツブサ「そして、なぜだか昔は僕たちマグマ団を目の敵にして、こちらの有能な団員を引き抜こうとしたり…ホムラ君とか更には組織同士、結合しようやら、合併しようやら…そそのかしてくるし。名前を呼ぶのも忌々しいので、ミナモ団体とか軟派団とか呼んでますね」


ワタル「話が長ェ アクア団はポケモン使って悪事を働くか?」

マツブサ「Σきっともちろんそうさ、働いてます!」


ワタル「よし、ミナモへアクア団を壊滅させに行くぞお前ら!」


ホカゲ「ひとりで行けよ…暑いしめんどくぇ」

バンナイ「行ってらっしゃ〜い」


ワタル「ひとりで行ってくる!オレは奴らを許さねェ!!」


マツブサ「Σほんとに出て行っちゃった…もしかしたらもしか、するかも?」

ホカゲ「よかったなマツブサ。手間が省けたなマツブサ」

バンナイ「でもアクア団側で、マグマ団が悪だって吹き込まれたら戻ってくるぜ…」

マツブサ「あ…」

ホカゲ「やべ…」

バンナイ「連れ戻してこよか?」


TVの中のトウキ『――照るぜ!』


ホカゲ「Σお! テレビの中のトウキさんが何か喋ってるぞ」

マツブサ「ほんとだ」

バンナイ「ちょっと、探しに行かなくていいの?」


TVの中のトウキ『――ジムは今日は休みにしたよ! また明日は通常通りにオープンするからぜひ挑戦しにきてくれ! ビッグウェーブ!』


ホカゲ「ビッグウェーブ! これでシメだなトウキさん」

マツブサ「ではでは、ワタル氏を探しにいきましょうかね」

バンナイ「しっかし、トウキさんはまたもや好感度あがっちまうね」


ワタル「好感度がどうした」


ホカゲ「Σおお!おかえりな、ワタルさん」

マツブサ「ワタル氏、いま探しにいこうと思ってたんですよ!」

バンナイ「ワタルさん必死だな、好感度につられて戻ってきやがった」


ワタル「オレとしたことが…アクア団はポケモンを助けたじゃねぇか!」


ホカゲ「そうだな、なんかチラっと出て来たクルーザー以外は助けてたな」

マツブサ「ね。あの船はなんだったの?」

バンナイ「俺が知るかよ」


ワタル「オレも何か助けねぇと…おい、明日は何か助けにいくぞ!」


ホカゲ「ワタルさん、そんなのいいから流星のタケルを見物にし行けよ」

マツブサ「今日も無駄にダラダラ過ごしちゃいましたね」

バンナイ「タケルもワタルさんに会いたがってるぜ…どうせファンでしょ」


ワタル「タケルなんざ、どうでもいい!!」


ホカゲ「え どうでもいい?」

マツブサ「え どうでもいいんですか?」

バンナイ「ワタルさん、そのタメにホウエンに来たんじゃ」


ワタル「そんな米粒物件、忘れちまったよ」


ホカゲ「タケル、いつの間にか米粒になっちまったのか…」

ワタル「オレ、明日からフエンをパトロールする。ジジババだらけで心配だ」

マツブサ「フエンは我々に任せて、もっと全国にはばたいて下さい…」

ワタル「なんか文句ありますか」

マツブサ「Σち、近い近い…コワイ」

バンナイ「ていうか、もうそろそろセキエイ帰れば?」

ワタル「てめぇはムショに帰るか?」

バンナイ「はいはい、すいませーん」


ワタル「よし、明日からオレと一緒に朝晩パトロールな!」


ホカゲ「Σえ… オレか、勘弁してくれ…」





おわり